わずかな未納金に対して200万円以上の維持費
9月1日の藤岡市議会本会議で、学校給食費の徴収業務を給食センターが行うことになるシステムの導入費を含む補正予算が成立しました。「学校給食費管理システム導入委託料」として680万7千円が計上されていますが、これはあくまでシステムの導入費です。システムが運用される来年度より200万円以上の維持費が毎年かかります。
市の説明ではシステムの導入の目的のひとつに未納金対策をあげています。この5年間で収納率が1.45ポイント悪化しているとして「対策が喫緊の課題」としています。しかしこれはこれまで卒業や転校などで学校を離れた児童や生徒の分もふくめて未納となっている分も含めたもので、その年に未納となる分だけをみれば収納率は5年前と比べて小学校では99.74%→99.82%、中学校では99.60%→99.65%とそれぞれ改善しています。
滞納率も昨年の2020年度は小中学校平均で0.265%で額では48万8,726円とわずかです。
給食センターに徴収業務を移管したとしても未納がなくなるわけではありませんが、改善したとしてもその額と比べてランニングコストが多額です。未納金対策として不十分どころか、かえって財政負担が増えてしまいます。
教職員の負担軽減としては賛成ですが…
市はシステム導入の1番の目的を、給食費の徴収業務から解放されることで教職員の負担が軽減されることとしています。教職員の多忙化は過労死ラインを超える時間外勤務が常態化している実態などがあり、数年前から問題となっていました。教職員の業務負担の軽減のためという点は賛同できることではありますが、一方で未納金を督促する業務を学校外の職員が携わることで、先生たちが日頃築いてきた保護者との人間関係に悪影響を与える可能性は軽視できません。
公平性の確保としては的外れ
また、公平性の確保と観点での未納者に対して一律の対応をとるためシステム導入ともいわれていますが、これは的外れです。学校給食の公平性とは、経済状態や家庭の環境に関係なくたとえ給食費が未納であってもどの子も給食を食べることができることです。未納金への対応を一律にしたとしても、給食の公平性を実現することにはなりません。
未納金・業務負担の軽減・公平性は給食費の全面無償化でこそ!
未納金対策や教職員の業務負担の軽減、給食の公平性の確保を実現するとすれば給食費の全面無償化がもっとも効果的です。コロナ禍で市民の経済的な負担軽減も強く求められているなかで、給食費の無償化こそ真剣に検討するべき課題です。市長は、今回のシステム導入で給食費の無償化が遠のくということではないと答弁しました。しかし新たな財政負担が生じる以上、無償化のハードルは当然あがってしまいます。
市民の願いに向き合うなら、今回のシステム導入は見送り、給食の無償化を段階的にでも進めるべきです。