先日、9/7は総務常任委員会で「安全保障関連法案の廃案を求める国への意見書の提出を求める請願」の紹介をしました。請願というのは市民の権利である請願権を使って出すことが出来るものです。紹介する議員一人以上の署名で提出することができ、市政に対する要望など市民の声を直接市議会に届けることができます。紹介議員は議会で他の議員に請願について説明し、質疑に応えることができます。
藤岡市議会1日目の本会議で総務常任委員会に審議が付託されましたので、9/7にその委員会が開かれました。中澤は紹介議員として呼ばれ、各委員の質疑に応えるという形で委員会に参加しました。
委員会での主な質疑はこちらです↓
①後方支援は安全な地域を指定して実施するので危険ではない。また状況判断によって撤退するなど安全確保もされている。PKOなど他国の地域の自衛隊の活動で自衛隊での死者、また他国の自衛隊による犠牲者は一人もでていない。このことから今回の法案での海外での自衛隊の活動が危険なものであるとはいえず、戦争を行うことはないがどう考えるか。
②ISAFのような活動への参加について、安倍首相は国会の答弁でも参加しないと明言していることについてどう考えるか。
③集団的自衛権はあくまで日本防衛のためであり、厳格な歯止めもあるので憲法に反しないことについてどう考えるか。
審議のなかで、「国会での案件なので市としては動向を見守るという」藤岡市の執行部に対しては委員から「この法案は自衛隊の勧誘などもしている藤岡市にも密接に関係するものである。」という意見が出されました。採決では一人の委員が趣旨採択を表明しました。しかし結果的には「法案の内容を完全に誤認している。いまの安全保障環境の変容に対応する必要性があり、抑止力を高め戦争を未然に防ぐには今回の改正は必要である。また日本の国際貢献も求められている。」として、委員会では不採択となりました。
委員会では不採択となりましたが、議会最終日の18日、本会議でもう一度決をとることになっています。その際中澤は賛成討論を行い、各議員に賛同を訴える予定です。
※上に書いた主な質疑に対する中澤の考えはこちらです。
①国会審議のなかで、今回の法案によって行う後方支援とは兵站と同じものであり、兵站とは国際的にも武力の行使と一体のものであることが明らかになりました。兵站とは戦闘をしている部隊へ物資を補給する活動です。米軍の海兵隊教本では兵站は軍隊の作戦のなかで最も重要な活動のひとつと位置づけています。兵站自体は実際に武器を使って攻撃はしませんが軍事作戦の生命線といえるので、格好の攻撃対象となり危険な活動でもあります。そして活動内容は前線の部隊への補給を目的とするので戦闘のない場所での任務では意味をなしません。こうした後方支援を行う場合、安全な地域での活動はありません。攻撃をうけるまたは戦闘になれば撤退や作戦の中止をして安全確保をする、としてますが、同時に緊急の際の武器の使用も認めています。そして国会答弁では攻撃をうけることになれば武器の使用をすることになる、と安部首相は認めました。撤退や作戦の中止がすぐに出来ない状況でやむを得ず武器を使って反撃することになれば、それは戦闘となります。仮に安全な場所で後方支援を始めたとしても意味のある活動であるなら、攻撃され、戦闘へと発展する可能性が高くなります。
また、いままで自衛隊は海外で死者を出すことなく活動してきましたが、今回の法案ではさらに活動を広げることを盛り込んでいるので危険が高まります。周辺事態法を改正し重要影響事態法と名前を変えることで、地理的な制約を外しました。そのなかの後方支援活動では業務内容が大幅に広がります。なかでも弾薬は運ばない、戦闘作戦のために発進準備中の航空機に対する給油は含まない、などとする文言を意図的に削っているのには大きな意味があると思います。
②ISAFとはアフガニスタンに展開していた治安維持活動で国連決議に基づきNATOの指揮で活動していました。治安維持活動といいながら、年々民間人の犠牲者は増え、また抑制するはずの反政府組織による被害も拡大しています。治安の維持に貢献しているかは疑問に思うところです。国会では、安倍首相はISAF自体は2014年12月に終了しているので参加することはないと答弁しました。しかしこの活動を引き継いでRM任務という活動は続けられています。なぜISAFのような活動に参加することが懸念されるかというと、今回の法案ではPKO法に「国際連携平和安全活動」という項目が新設されているからです。この活動の定義とISAFとの活動が重なるため、参加が心配されています。そして首相はこうしたISAFのような活動への参加をはっきりと否定はしていません。
③1981年の政府答弁では集団的自衛権は必要最小限度の範囲を超えるものだとして憲法上許されないとしています。今年3月の政府答弁では、昨年7/1の閣議決定のさいには1981年の政府答弁のなかの「憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使はわが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」という基本的な論理を維持している、と答えています。一見矛盾するような、見解を翻し集団的自衛権が違憲でないと解釈されたのには安全保障環境の変容が根拠となっています。しかしこの安全保障環境の変容の具体的な例が挙げられていません。中国の脅威は政府によって覆されました。8/10参議院で岸田文雄外相は「日本政府は中国を脅威とみなしてはいない」と述べ、「日中両国が戦略的互恵関係に基づいて安定的な友好関係を発展させるのは大変重要」と答弁しています。8/4-8/6にかけてはASEANと中国で南シナ海の各国の行動を取り決める会議が開かれ、共同声明も発表されました。共同声明は「南シナ海行動規範(COC)に関する協議でなされた進展に留意しつつ、我々は、効果的なCOCを迅速に設定することの重要性を繰り返し述べた。その点に関し、DOC実施に関する第9回ASEAN・中国高級官僚会合(SOM)の最近の成果を歓迎した。その成果とは、協議の次の段階に進むこと、並びに枠組み、構造、諸要素及び提案されているCOCにかかわる重要、困難、複雑な問題を交渉することにSOMが合意したことである。」と述べており、紛争は交渉によって解決を図ることを確認しています。7/10の衆議院ではホルムズ海峡の封鎖も現実的でないことが明らかになりました。
また集団的自衛権発動に際し明確な歯止めとされる新3要件はあいまいな表現で、政府の判断によって解釈は多様です。現に安倍首相は新3要件の存立危機事態の具体的な説明はせず、そのときどきによって判断すると答えています。自衛という大義名分によってなんでも許されることにもなりかねません。