bookmark_border【2024年3月議会】一般会計予算、国保特別会計予算、介護保険特別会計予算に対する反対討論

3月議会の最終日、3月19日の本会議で来年度予算案に対する採決があり、討論を行い、反対を表明しました。

 以下は討論原稿の全文です。

「議案第34号、一般会計についてです。
 今回の一般会計予算は総額で299億6000万円で前年度と比べて7.1%増、過去最大の予算額となっています。その要因としては複合施設の建設工事に伴う増額が最も大きな要因と言えると思いますが、好調なふるさと寄附金や学校給食費の完全無償化も大きく影響しています。学校給食費の完全無償化はすでに1月から臨時交付金を活用して前倒しで実施されていますが、来年度からはいよいよ本格実施となります。県内で活動する住民運動の団体である「給食費の無料化をめざす会」の報告によると3月12日現在で、この4月から完全無償化を実施するのは藤岡市も含めて21自治体、一部補助などを実施するのは13自治体、未実施は高崎市の1市のみとのことで群馬県内ではほとんどの自治体が学校給食費に何らかの補助をおこなうようになりました。この間、藤岡でも市議会には2018年12月の定例会に市民から学校給食費の無償化を求める請願が提出され、市長宛に署名も届けられるなど、市民による強い要望の声が上げられてきました。保護者の負担を大きく軽減することになる学校給食費の無償化は、子育て世代だけでなくその世代を支える多くの市民にとっても広く利益となる事業であるとともに、義務教育は無償とする日本国憲法の原則を実現するという点でも大きな意義をもつものです。人格の完成を目指す義務教育の一環として給食を位置付け、子どもたちに十分な栄養と教育の機会を市が責任を持って保障することになる本事業の実施には、一市民として大いに誇りに感じるものです。市長のご英断と職員のみなさんのご努力に最大限の敬意を表します。また、ふるさと寄付金を積み立てている基金を活用して、桜山公園に遊具を設置する予算が含まれていますが、昨年開業したシェアカフェ「しき」に続いて、先進的で魅力的な施設が整備されるということで市民からは大きな関心が寄せられています。「観光資源の磨き上げ」を象徴するような桜山公園の一連の整備事業によって藤岡市の魅力がさらに高まるものと期待し、楽しみにしているところです。

しかし一方で、市民が不安や不便が強いられている面があることについては強く懸念をしています。
 ひとつは防衛省の求めに応じて、住民基本台帳に記載されている住民情報を印刷して提供していることについてです。
岸田政権は、一昨年の安全保障に関する防衛3文書の改訂によって反撃能力の保有、防衛費の大幅な増額を方針としてこれまでの安全保障政策を大きく転換しました。先日は次期戦闘機の輸出解禁にむけて与党で合意が交わされたとの報道もあり、これまでの日本の「平和国家の歩み」からはずれる道へ踏み出しつつあります。自衛隊員が軍事衝突の現場で活動する可能性が十分に高くなっているなか、市民の自衛隊に対する考えも複雑さを増しています。市民によっては名簿に記載されたくない、提供して欲しくないと考える方もいるかもしれません。しかし、名簿提供の事実を公表せず、名簿からの除外申請にも対応しないというのは憲法が定める基本的人権を無視していることになるのではないでしょうか。
 また、高齢者の暮らしへの支援も不十分です。国の年金制度によって、年金生活者の多くの実質受給額は毎年のように目減りしています。実質的な年金額が減ることで可処分所得も低下し、高齢者の暮らしは深刻となっています。民間シンクタンクのみずほリサーチ&テクノロジーズはこの物価高の影響で2024年度の物価負担は2021年とくらべて1世帯あたり28万円増えると試算しています。そんななか、介護保険料の引き上げ、高齢者の医療費窓口負担増などの高齢者に対する冷たい国政から防波堤となって市民をまもる暖かな市政が、より求められている時ではないでしょうか。
 しかし、たとえば高齢になり自分で運転免許証を自主返納した方への移動手段に対する支援は、返納後の移動する権利・交通権を十分に保障するものとなっていないことや、高齢者の多くが患うとされる加齢性難聴では、補聴器購入は全額自費での負担となるため、社会生活に困難を抱えていても買うことができないか、あるいはは多額の費用負担をせざるを得ない状況で負担が強いられていること、多くの高齢者が戸惑うなか推進される「デジタル化」の一環であるマイナンバーカードの普及や電子図書の導入によって、行政サービスから高齢者が遠ざけられることになる恐れがあることなど、高齢者を取り残す国政に同調するかのような姿勢は容認できるものではありません。

次に議案35号国保特別会計についてです。
 昨年の12月議会で条例が改定されたことで保険税率が変更され、被保険者の負担が大きく増えるものとなっています。国保加入世帯の世帯主職業は「無職」が4割以上、65歳以上の加入者も4割を超えているため、収入がすくなく医療費は高くならざるを得ない構成です。条例の改定の際にも申し上げましたが、国保の仕組み上、保険税収入で国保会計を維持することは不可能であり、加入者の健康をまもるためには公費負担を増やすことが必要です。市による赤字繰入れを実質的に禁止し、税率を引き上げる以外に国保会計が維持できない状況に追いこむ国にこそ、国庫負担を増やすことをもとめるべきで、加入者の負担増を強いることになる本予算には賛成できません。

最後に議案第37号の介護保険特別会計についてです。
 来年度から介護保険事業計画期間が第9期となり、計画に基づいて保険料の所得段階は現在の9段階から13段階へと細分化されます。第1〜第3段階の保険料は基準額に対する両率の引き下げで保険料の額も引き下げとなりますが、第4段階以降では引き上げとなります。保険料引き下げとなるのは全体の約3割で、多くは負担増です。特に大きく負担が増えるのは現在第9段階で新設の第10段階以上に移行する場合で、最大で5万円以上も保険料が増えることになります。
 今後介護保険はサービス利用料の利用者負担も引き上げる議論もありますが、介護報酬の改定では訪問介護の介護報酬の引き下げでサービス自体を廃止とする事業所も多くなると見られています。保険料は高くなる一方、介護からは遠のくということになるのではないでしょうか。

 以上、3議案通して、特に一般会計での学校給食費の完全無償化本格実施など個別に評価できる事業はあるものの、軍拡・暮らし切り捨ての国政の下請け機関としての市政をあらわす面が強く、賛成することはできないことを申し上げ、反対討論といたします。」