ゆったり館の廃止のその後…。


藤岡の仲町にある社会福祉協議会の一階には「ゆったり館」という入浴施設がありました。昨年の6月いっぱいで廃止となってから、なくなって困るという話を度々聞いています。

「ゆったり館」は自宅にお風呂がない人のための福祉的な施設です。一般的な銭湯ではないという位置づけの施設だったようで、周辺地域の家庭に内風呂が普及したために必要が無くなったというのが廃止の理由でした。市内の不動産業者で扱っている物件に「風呂なし」のものが無いということがその根拠でした。しかしこの間、市民の方と話すなかで市によるこの調査の不適切さを感じています。

80代後半のひとり暮らしのある方は、自宅に浴槽はあるものの、深くてひとりでは入れないのでもっぱらゆったり館を利用していたとのことです。ゆったり館廃止時に試しに浴槽に入ってみると、出ることができず大変危ない思いをしたそうです。古い家の浴槽は深い物が多く、古い建物の多い仲町周辺ではこの方に限らず、似た状況の人は少なからずいるのではと思います。ゆったり館は安全に入浴ができ貴重な交流の場でもあったので、廃止になると聞いて大変なショックを受けたと話してくれました。

また、市営住宅に住んでいる70代くらいの方は、ガス器具を用意できずに自宅での入浴ができないといいます。ゆったり館廃止後は、さらに遠くの入浴施設に車で通っているようです。

当然のことながら市内の不動産業者が扱っている物件が市内の家庭の状況の全てではなく、掴みきれないところにこそ困難があるはずですが、こうした不動産業者の話をもっともらしく理由とする市の姿勢を厳しく指摘できなかったことが悔やまれます。

また、廃止については反対を唱え、主張しましたが、結果的に市民のみなさんに負担を強いてしまっていることに大きな責任を感じています。